熊本県の中央に位置し、海と山に囲まれた熊本県宇城市(うきし)。ここでメロンづくりに励むのが、徳永壽一(とくながじゅいち)さん(62歳)・みどりさん(58歳)ご夫婦です。取材に伺った日は、息子夫婦である龍司(りゅうじ)さん(30歳)・理恵(りえ)さん(33歳)とともに、秋冬用アールスメロンの収穫に精を出していらっしゃいました。 |
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どんな時でも前へ。宇城市小川町で“観音山(かんのんさん)”の愛称で親しまれる小高い山の裾野に、徳永さんのビニールハウスはあります。徳永さんは「アンテナ」と呼ばれるT字のツルの部分を傷つけないように、丁寧にアールスメロンを収穫していました。収穫時期は、12月のほんの1ヶ月程度ですが、その間におよそ10000個ものメロンを出荷するのは、大変な作業です。 メロンの声が聞こえる。「メロンはとっても繊細。ハウスの中は、天候の影響を受けないと思っている人も多いんですが、とんでもない。毎年、一年生のような気持ちで取り組むことが大事なんです」。思い通りにならない日々を乗り越えさせてくれたのが、親身になって相談に乗ってくれたアールスメロン生産者の先輩たち。仲間のアドバイスを胸に、葉や茎、土の状態を細かく観察しながら手入れをすると、だんだんとメロンの声が聞こえるようになったと語ります。 家族みんなでつくるメロンには
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もともと有数のプリンスメロンの産地だったこの地で「新しい挑戦をしたい」という思いから、アールスメロン生産者としての一歩を踏み出した徳永さん。最初は試行錯誤の連続だったと語ります。水やりや温度、湿度管理など、教科書通りに手入れをしても、相手は生き物。思うように収穫できない時もあったと当時を振り返ります。
ただひたすら湧水を畑に運ぶ。“苦労した分だけ、メロンはこたえてくれる”と語る徳永さんが、徹底してこだわっているのが水。もともと農業用水が豊富な小川町ですが、徳永さんが納得するわき水は遠くにあるため、車に乗せたタンクで畑へと運びます。「1000リットルの水を運ぶのは重労働ですが、よか水ばやると玉にしっかりと甘みが乗ります」。生育の段階で摘果し、一つの苗にたった一玉しか実ることがないアールスメロン。選ばれた一玉は、子どもを慈しむように大切に手入れされ、さわやかな香りとすっきりとした甘さの一玉に育ちます。 親元を離れて暮らすサッカー少年たちの
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